軽量高速薄命の美人!短命に終わった幻の「高性能ロマンスカー」
小田急電鉄2300形は昭和30(1955)年に登場した、特急としては初となる静粛性の高いカルダン駆動を搭載した4両編成の「ロマンスカー」です。当時、小田急電鉄では新型特急車両(SE車)の開発を進めていましたが、箱根への観光を目的とした特急利用客の増加に伴い、SE車完成までの間の暫定的な特急増備車両として2300形の開発に着手しました。 デビュー後は「はこね」「あしのこ」をはじめとした通常特急としての運用の他、臨時運行の納涼ビール電車「すずかぜ」や「いそかぜ」としても運用し、2年後のSE車登場以降も主力特急車両として活躍しました。 その後、デビューから4年後となる昭和34(1959)年のSE車(第4編成)登場を期に、特急の補完運用を行う準特急車両として改造され、さらに、昭和38(1963)年のNSE車登場以降においては準特急の運用からも外れ、通勤車両として再度改造されました。 特急車両としては異例の短さ(4年間)で役目を終えた2300形ですが、通勤車への格下げ以降も2200形や2400形との連結運用車両として活躍し、昭和57(1982)年に小田急電鉄での現役生活に幕を下ろしました。 ロマンスカーの名声を一段と盛り上げた車両として、また、幾度もの改造を経て種々様々な運用を歩んだ車両として、その活躍ぶりは今でも語り継がれています。